スマホやパソコンの普及でディスプレイを長時間見ることが多くなり、現代人の多くは目の疲れを感じやすくなっています。
仕事でパソコンを使う人以外にも、スマホやゲームなどで長時間ディスプレイを見ている人も増え、目の症状を訴えるケースが増えてきています。
五感の中でも目から得られる情報は80~90%と言われているため、起きている間に目は思った以上に酷使されているのです。
目の疲れや疲労は「疲れ目」や「眼精疲労」と言われますが、実はこの2つは症状が違います。
本記事では、疲れ目と眼精疲労の違いや症状、対策方法をご紹介します。
目が疲れやすくなってきた人や、目の疲れがなかなかとれない人は、ぜひ参考にしてみてください。
まずは目でものを見る仕組みについてご説明します。
目の仕組みはよくカメラで例えられ、様々なものの色や形を光の情報として取り入れます。
黒目を覆う角膜と水晶体はピント調整をするレンズで、水晶体の厚みを変えることによって、遠くのものや近くのものにピントを合わせることができるのです。
眼球を覆う最も内側の膜である網膜はフィルムになり、網膜に映し出された情報は電気信号に変わって脳へ伝達され、脳がその信号を処理してはじめて目が見える状態になります。
実はものは目でみているのではなく、脳で見ているのです。
疲れ目と眼精疲労は、目が疲れて見えにくくなったり目を使いすぎて重たく感じるなどの症状が出た時に感じますが、実は2つの症状は違います。
疲れ目と眼精疲労は症状の重さによって、表現が異なるのです。
「疲れ目」は一時的に感じる目の疲れのことで、休憩をしたり睡眠をとれば自然と改善されるような症状です。
「眼精疲労」は目の痛みや視力の低下、肩こりや頭痛などの症状が継続的に繰り返される症状で、目だけでなく身体にも症状が出ます。
2つの違いを知ることでどの程度の症状なのか、違いや対処方法をチェックしてみてください。
目の疲れや眼精疲労は現代病とも言われていますが、以下のような習慣のある人はなりやすいです。
スマホやパソコンの普及で長時間ディスプレイを見続けている人は多いです。
意識して休憩を挟み、目を休ませるようにしましょう。
疲れ目や眼精疲労の原因は、スマホやパソコンなどのディスプレイを、長時間見ていることが原因の場合が多いです。
集中して画面を見ることで眼球を動かさないため、眼球を動かすための7本の筋肉と、ピントを調整するための水晶体の厚さを調整している筋肉が疲労を起こしてしまいます。
さらにまばたきの回数が減って涙の分泌量が減ってしまったり、空調やコンタクトレンズの使用で涙が蒸発して乾いてしまうことで、目を疲れさせてしまうのです。
また、眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていない場合も、目を疲れさせる原因になります。
一時的に目に疲れを感じる疲れ目の症状の特徴や解決方法を見ていきましょう。
疲れ目の症状は慢性的ではなく、一時的に起こります。
目は、遠くを見る時、近くを見る時、手元を見る時に水晶体の厚みを調整してピントを合わせています。
そのため、目が疲れてくると一時的に見えにくくなったり乾きやすくなるなどの症状が出ます。
一時的な疲れ目の症状はこまめに対処すればある程度すぐに改善することができるでしょう。
日々の十分な睡眠は重要で、目のためにも体をゆっくり休ませるためにも適度な睡眠時間の確保は基本です。
目の疲れを感じたら1時間に1回くらいは休憩を取るようにし、まぶたを閉じてじっとしているだけでもマシになりますが、目元を温めるようなホットアイマスクなどを使うとさらに効果的です。
また、日常的に目の疲れに効果的な栄養素を摂取しましょう。
「アントシアニン」は網膜のダメージを防いで血流を改善する働きがあります。
アントシアニンはブルーベリーや紫芋、なすなどに多く含まれています。
「ベータカロチン」は網膜色素のひとつの成分でもあります。
ベータカロチンは抗酸化作用、目や目の粘膜の代謝を促進する働きがあり、人参や小松菜などの緑黄色野菜に多く含まれています。
目の疲れに効果的な栄養素は、目だけでなく体の疲労回復にも効果的です。
毎日の食事に採り入れてみてください。
疲れ目が続き、休息しても目の疲れや痛みなどの症状が治まらない、目以外の身体にも影響を及ぼす状態の眼精疲労について、症状の特徴や解決方法を見ていきましょう。
眼精疲労の症状は、疲れ目のように目だけに起こる症状のほか、身体にも症状が出るのが特徴です。
目だけでなく身体にも影響を及ぼすようでしたら、疲れ目ではなく眼精疲労で、以下のような症状があります。
長期間目の疲れを感じたり、身体にも影響が出るようでしたら、どういった症状が出ているのか確認しておきましょう。
眼精疲労は一時的な疲れ目と違い、短期間での改善は難しく、なかなか自然には治らないため、意識して改善を心がけることが大切です。
例えばディスプレイを見る時間を減らしてこまめに目を休めるようにし、疲れ目でも紹介した目によい栄養を摂取したり、目元をほぐすマッサージを継続してみてください。
また、眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていないと眼精疲労を引き起こす原因になります。
しばらく眼科で視力検査をしていない方は、レンズの視力が合っているか、乱視はないかなど診察するのも良いでしょう。
眼精疲労からくる頭痛や肩こりの症状に悩まされて、鎮痛剤を常用している人も少なくありません。
充分な睡眠をとっても朝から目に痛みや頭痛があったり、めまいや吐き気などの症状が出るなど、眼精疲労がなかなか改善しない場合や日に日に悪化するなどして、生活に支障をきたす場合は早めに眼科などへ受診してください。
眼精疲労が改善せず、他にも以下のような症状が出るようでしたら、網膜剥離、脳出血や脳梗塞などが疑われます。
上記の症状も出た場合は、眼科ではなく脳神経内科・脳神経外科を受診してください。
スマホやパソコンなどのディスプレイを長時間見続けることで起こる、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群についてもご紹介します。
VDT症候群はIT眼症とも呼ばれており、目や身体だけの症状でなく心にも影響を及ぼす症状です。
疲れ目や眼精疲労と同じような症状のほか、イライラしたり不安感がある、抗うつ状態になったりなど精神の症状もあります。
目のピント調整には自律神経が深く関係しており、遠くを見ている時は活動時に優位になる交感神経が、近くを見ている時は目や身体をリラックスさせる副交感神経が優位になります。
近くを見たり遠くを見たりを繰り返すことで、自律神経はオンとオフを切り替えているのです。
しかし、仕事をするときは交感神経が優位になっている状態が正常ですが、パソコン作業の時間が増えることで副交感神経が優位になる時間が増え、自律神経のバランスが乱れてしまうことがあります。
疲れ目や眼精疲労以外にも、精神的な症状があるようでしたら、VDT症状群が疑われると言えるでしょう。
解決策は眼精疲労対策と同じになりますが、長時間ディスプレイを見ることを控え、こまめに休憩やゆっくり休養をとるようにしてください。
疲れ目と眼精疲労の違いや対処方法についてご紹介しました。
目から得る情報は思った以上に多いため、知らず知らずのうちに酷使されています。
一時的な疲れ目を放置しておくと眼精疲労となり、目だけでなく身体にも影響を及ぼすほど症状が悪化してしまいます。
最悪の場合目や脳の病気を引き起こすこともあるため、目に疲れを感じたら放置せずにこまめにケアをし、疲れを蓄積させないようにしましょう。
症状によっては、必要に応じて眼科を受診することをおすすめします。
2022.1.28